2017/08/14

【脳内対談】老国 第ニ回

【シルバー民主主義】

―――皆さん、こんばんは。『左脳の脳内対談』のお時間です。第二回の今日は、『どうすれば政治の目を子供や若い世代に向けさせられるか』について、議論していきたいと思います。
 さて、前回議論してきました政治の高齢者偏重ですが、近頃はそれを問題視・非難する『シルバー民主主義』や『老害』といったような言葉をよく目にするようになってきました。全体的に高齢者への風当たりが強まってきているように感じます。

右脳: そうですね。高齢者と若い世代の溝が徐々に広く深くなってきている気がします。一部のメディアなどからも『シルバー民主主義』の是正についての発言を耳にするようになりました。

―――政界でも与野党を問わず、この問題を取り上げる方々がいるようですが。

 彼らの多くは若手と呼ばれる人たちなので、まだ大きな流れを作れるほどまとまってはいませんが、それぞれ何とか状況を改善しようと色々なアイデアを考えているようです。ただ、やはり面と向かって高齢者を敵に回すような事は言えないようで、どれも今ひとつ踏み込めていない感が否めません。それでも、「この問題を解決しなければ日本の未来は無い」という漠然とした認識は、すでに若い世代を中心に広く浸透しているのでは無いでしょうか。

―――そうなると、次はどうやって問題を解決するかが課題となります。そこで今回のテーマ、『どうすれば政治の目を子供や若い世代に向けさせられるか』となるわけですが。ところで、昨年の夏から選挙権年齢が18歳に引き下げられましたが、これは『シルバー民主主義』の是正を目的にしていると考えていいのでしょうか?

2017/06/20

【脳内対談】老国 第一回

【戦後型成長モデルの破綻】


ーーー皆さん、こんばんは。『左脳の脳内対談』のお時間です。本日はゲストに右脳さんをお招きして、日本の今とこれからについて伺って参ります。右脳さん、よろしくお願いします。

右脳: よろしくお願いします。

ーーー第一回の今日は、日本の現状について伺いたいと思います。昨今、日本の少子高齢化はますます深刻化し、国の借金は増え続け、年金や社会保障制度の破綻が囁かれています。そして、その何れも解決策どころか、悪化を食い止める目処すら立っていないのが現状です。かつて世界第二位の経済大国だった日本が、何故このような状態になってしまったのでしょうか?

 私は何も特別な事では無いと考えます。これらの問題は日本だけでなく、多くの先進諸国に共通するものです。言わば、ある程度成長しきった国に宿命的に訪れる凋落期です。日本は他の先進諸国と比べても急激な成長を遂げたので、凋落もまた急速なのでしょう。

ーーー急激な成長、つまり、高度経済成長期に原因があるということでしょうか?

 そうですね。今、破綻しかけている様々な制度や体制は、そのほとんどが高度経済成長期に作られたものです。しかし、日本人は未だに高度経済成長期を礼讃し、その実体と向き合う事をせずにいます。

ーーー高度経済成長期の実体とは?

 高度経済成長は、一定のレベルに達した発展途上国の経済が急速に成長する、極めて普遍的な現象だと言えます。どの国にも一度だけの訪れるボーナスタイムのようなものです。日本人はそれを『日本人の勤勉さと真面目さが可能にした日本だけの特別な成功』だと勘違いしてしまった。

2017/05/08

雑記:フランス大統領選

フランス大統領選挙において、独立系のマクロン氏が当然を確実にし、世間を騒がせた国民戦線のルペン党首は結果として国民に拒絶された形となった。先のオランダ総選挙と合わせて、これによってイギリスのEU離脱からトランプ大統領誕生までの反グローバリズムの奔流に、ある程度の堤が築かれたような感じだ。
ルペン氏の敗因は、決選投票前の直接討論で露呈した知識不足にあると言われている。手元も見ずに淀みなく話すマクロン氏に対して、資料を探しながら時折言葉に詰まったりしながら相手を批判するルペン氏に、フランス国民は「大統領の器ではない」という判断を下したのだろう。
ただ、これで世界的な反グローバリズムへの流れが止められた、と考えるのは早計だ。世論が彼女に同調した事実が無くなるわけではないからだ。事実、この選挙で投票を棄権、もしくは無効票を投じた有権者は、全体の3分の1に上る。この数字は、フランス国民の中に「反EU・反移民・反既存政治」という感情がいまだ根強く存在することを示しているように思う。ルペン氏が敗れた理由は要するに、彼女がそれらの感情の受け皿となれるだけの信頼性を得られなかったからだろう。今後、彼女に替わる、彼女よりも優れた資質を持った政治家が現れたなら―――そして、その時までに既存政治が国民の不満・不信を拭えていなければ―――再び反グローバリズムの感情が堰を切って溢れ出す、と私は見ている。
さて、次は9月のドイツ総選挙である。

2017/04/07

雑記:トランプノミクス

 国際ニュースと経済ニュースを見ていて、ふと思ったこと。
 現在の世界経済の動向には、実際の商取引よりも、むしろ短期的な売買で利ざやを稼ぐ投機筋が大きな影響を与えているように思う。株式市場や為替市場に動きがあると、専門家たちはその理由を分析し説明するが、それをずっと聞いていると、どうも後づけで理由を付けているような気がしてくる。
 トランプ大統領が当選した時、為替市場ではリスク回避の円高が加速したが、その直後、手のひらを返したように一気にドル買いの流れに動いた。トランプ大統領の掲げる保護主義によってアメリカ経済が今後良くなるという予想から株価も高騰した。それまで「トランプが大統領になったら世界がメチャクチャになる」と不安感を煽っておいてからの押し目買い。まるで世界経済が投機筋のマネーゲームに翻弄されているかのようだ。

2017/03/31

雑記:世界の収縮と拡散

第一次大戦から第二次大戦、冷戦とその終結、そしてグローバリズムの興隆と反グローバリズムの台頭。
世界は分裂と融合を繰り返している。
分裂の理由はそこに不純物があるからだが、分裂しても融合していた記憶は残り、不純物が取り除かれた後はより容易な再融合を可能にする。また、きれいに融合していた部分は分裂せずに残る。
要するに結局、分裂する力より融合する力の方が強いのだ。
だから、再統合する度に国際社会はより大きな塊となっていくのである。