2013/07/26

Nepal-118: 今年の有望株

4月――。
学校は春休みに入り、ホステルの生徒たちも村に帰ったが、私の忙しさはあまり変わらなかった。
春休みではあるが、例年通り私はSG小学校に行って特別クラスを開いていた。
特別クラスでは、各生徒のレベルに合わせて算数ドリルなどをやらせている。
お昼にはおやつを買ってきて配ったり、野球をやったりもしながら、それでも毎日朝から夕方まで45時間は勉強している。
特別クラスは少人数で、しかも個別に集中的に指導できるので、毎日来る生徒は目に見えて成長していく。
だが、他の子供たちが春休みを楽しんでいる時に、毎日学校に来てひたすら勉強するというのは、並大抵のことではないと思う。
少なくとも子供の頃の私だったら、絶対に来ないだろう。
そんな特別な子供たちだからこそ、特別なチャンスを与えてやりたいと私は思う。

2013/07/17

Nepal-117: 学年末

3月下旬。
学生にとっては、一年で最も大切なシーズンだ。
特にSLC(学校教育修了検定)を受ける10年生にとっては、文字通り、自分の将来を左右する数週間となる。
ホステルの生徒たちも、学年末テストに向けて最後の追い込みをかけている。
私は朝から夕方までSG小学校へ行き、学校が終わったらホステルへ直行して、彼らのテスト勉強を見るのが日課となった。
特にホステル一年目のスリジャナは、一年上のビルやシュレンドラに比べると今ひとつ成績が振るわない。
学年全体で言えば彼女の位置は中の上と決して悪くはないが、最初の一年で上位に食い込ませておかないと『並』でいることに慣れてしまう。
しかし、奨学生として援助をする以上、人並みで満足してもらっては困るのだ。

2013/07/14

Nepal-116: ヘッドハント

私がポカラで住処にしているホテル『マウンテン・ヴィラ』は、ポカラのレイクサイドと呼ばれるエリアにある。
このホテルはガイドブックに載っているような有名ホテルではないが、国籍問わずリピーターの多い「知る人ぞ知る」人気ホテルだ。
その『マウンテン・ヴィラ』の3軒隣りにあるのが、ススミタとキーランがいる『シャムロック・スクール』である。
ここには私もちょくちょく顔を出し、夜には映画などを見せたりしているので、生徒たちとも顔見知りだ。
というわけで、サビナに代わる新しい寮母を探し始めた私は、真っ先にシャムロックの卒業生に目をつけた。

2013/07/10

Nepal-115: クビ

前回書いたように、ホステルにはいくつかの問題があった。
私はビル、シュレンドラ、スリジャナの3人に何が問題かを説明し、このままだと彼ら自身にどんな悪影響が出てくるか言って聞かせた。
SG
小学校の頃から教えている彼らは、基本的に私に対しては素直だ。
また、自分が「何をすべきで、何をすべきでないか」が分からないほど愚かでもない。
だから、注意して様子を見守ってやれば矯正は難しくない。
しかし、そう簡単には行かない人間が、生徒の他に一人いる。
それは寮母役のサビナである。