4月――。
学校は春休みに入り、ホステルの生徒たちも村に帰ったが、私の忙しさはあまり変わらなかった。
春休みではあるが、例年通り私はSG小学校に行って特別クラスを開いていた。
特別クラスでは、各生徒のレベルに合わせて算数ドリルなどをやらせている。
お昼にはおやつを買ってきて配ったり、野球をやったりもしながら、それでも毎日朝から夕方まで4~5時間は勉強している。
特別クラスは少人数で、しかも個別に集中的に指導できるので、毎日来る生徒は目に見えて成長していく。
だが、他の子供たちが春休みを楽しんでいる時に、毎日学校に来てひたすら勉強するというのは、並大抵のことではないと思う。
少なくとも子供の頃の私だったら、絶対に来ないだろう。
そんな特別な子供たちだからこそ、特別なチャンスを与えてやりたいと私は思う。
春休みではあるが、例年通り私はSG小学校に行って特別クラスを開いていた。
特別クラスでは、各生徒のレベルに合わせて算数ドリルなどをやらせている。
お昼にはおやつを買ってきて配ったり、野球をやったりもしながら、それでも毎日朝から夕方まで4~5時間は勉強している。
特別クラスは少人数で、しかも個別に集中的に指導できるので、毎日来る生徒は目に見えて成長していく。
だが、他の子供たちが春休みを楽しんでいる時に、毎日学校に来てひたすら勉強するというのは、並大抵のことではないと思う。
少なくとも子供の頃の私だったら、絶対に来ないだろう。
そんな特別な子供たちだからこそ、特別なチャンスを与えてやりたいと私は思う。
そして今年も一人、見どころのありそうな生徒がいた。
今年の卒業生の中で一番成績の良かったサンジェイという男の子だ。
頭の回転、集中力、物覚えの良さは申し分無い。
ただ一つの欠点は、母親が過保護なせいか精神的に幼い部分が見られることだ。
もう10歳にもなるのに、まだ親指をしゃぶるクセが抜けてなかったりもする。
その辺りに幾分不安は感じるが、思い返せば去年のスリジャナも同じようなものだったので、まぁ、大丈夫だろう。
ちなみに、彼の家はいわゆる下級カーストに属するらしい。
現在ではカーストによる差別はほとんど見られないし、私も「カーストが低いから援助すべきだ」という考えは持っていない。
しかし、それでもそんな家庭から優秀な子どもが出てきたなら、「援助してやりたい」と思うのが自然な感情だろう。
今年の卒業生の中で一番成績の良かったサンジェイという男の子だ。
頭の回転、集中力、物覚えの良さは申し分無い。
ただ一つの欠点は、母親が過保護なせいか精神的に幼い部分が見られることだ。
もう10歳にもなるのに、まだ親指をしゃぶるクセが抜けてなかったりもする。
その辺りに幾分不安は感じるが、思い返せば去年のスリジャナも同じようなものだったので、まぁ、大丈夫だろう。
ちなみに、彼の家はいわゆる下級カーストに属するらしい。
現在ではカーストによる差別はほとんど見られないし、私も「カーストが低いから援助すべきだ」という考えは持っていない。
しかし、それでもそんな家庭から優秀な子どもが出てきたなら、「援助してやりたい」と思うのが自然な感情だろう。
さらにもう一つ付け加えるなら、彼の姉は私がSG小学校に来た最初の年の5年生で、以前SG小学校が6年生クラスを新設しようとして失敗した時、結果的に貧乏クジを引かせてしまったスズタだった。
その時の流れを簡単に説明すると、まずSG小学校で6年生クラスを新設するという話になった。
しかし、その新クラスの生徒となるはずだったススミタとキーランがシャムロック・スクールに入学する事になったため、残りの6年生は3人になってしまい計画が頓挫しかけた。
そこで一年前の卒業生で、当時は別の公立中学校に通っていたスズタに戻って来てもらったのだった。
というのも、彼女はその中学校で落第してしまったため、もう一度6年生をやり直す事になっていたからだ。
同じ6年生をやり直すなら、劣悪な環境の公立中学校よりSG小学校のほうが彼女のためになる。
だが、色々あって結局6年生クラス新設は白紙になり、せっかく戻って来てもらったスズタの居場所も無くなってしまった。
このままもと居た中学に戻っても、最終的にSLCをパスできるかどうかは怪しい。
そこで私は、どうせならいっそ5年生からやり直してみてはどうか、と提案した。
長い目で見れば、SG小学校でもう一度基礎からやり直したほうが彼女のためになると考えたからだ。
そして、スズタの親はこの提案を受け入れた。
一般的に教養の無い親は、特に女の子の教育に対して消極的だ。
少しでも早く卒業して結婚してしまえばいい――――と考えているのだ。
スズタの親にしても、決して娘の教育に対して熱心というわけでは無い。
それでも彼らが私の提案を受け入れたのは、私を信頼してくれているからだと思う。
こうしてスズタは5年生クラスに編入し、翌年、再び卒業していった。
そういった背景もあり、私はかなり早い段階からサンジェイの援助を考えていた。
客観的に見ても、学力に関してサンジェイは私立校で十分に上を目指せる力を持っている。
そんなわけで、私は彼に入試を受けさせる準備を進めていった。
その時の流れを簡単に説明すると、まずSG小学校で6年生クラスを新設するという話になった。
しかし、その新クラスの生徒となるはずだったススミタとキーランがシャムロック・スクールに入学する事になったため、残りの6年生は3人になってしまい計画が頓挫しかけた。
そこで一年前の卒業生で、当時は別の公立中学校に通っていたスズタに戻って来てもらったのだった。
というのも、彼女はその中学校で落第してしまったため、もう一度6年生をやり直す事になっていたからだ。
同じ6年生をやり直すなら、劣悪な環境の公立中学校よりSG小学校のほうが彼女のためになる。
だが、色々あって結局6年生クラス新設は白紙になり、せっかく戻って来てもらったスズタの居場所も無くなってしまった。
このままもと居た中学に戻っても、最終的にSLCをパスできるかどうかは怪しい。
そこで私は、どうせならいっそ5年生からやり直してみてはどうか、と提案した。
長い目で見れば、SG小学校でもう一度基礎からやり直したほうが彼女のためになると考えたからだ。
そして、スズタの親はこの提案を受け入れた。
一般的に教養の無い親は、特に女の子の教育に対して消極的だ。
少しでも早く卒業して結婚してしまえばいい――――と考えているのだ。
スズタの親にしても、決して娘の教育に対して熱心というわけでは無い。
それでも彼らが私の提案を受け入れたのは、私を信頼してくれているからだと思う。
こうしてスズタは5年生クラスに編入し、翌年、再び卒業していった。
そういった背景もあり、私はかなり早い段階からサンジェイの援助を考えていた。
客観的に見ても、学力に関してサンジェイは私立校で十分に上を目指せる力を持っている。
そんなわけで、私は彼に入試を受けさせる準備を進めていった。
サンジェイとスリジャナ (特別クラスにて) |
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