2012/09/06

Nepal-099: 終業式

――――3月下旬。
SG小学校では、いよいよ学年末テストが始まった。
ただ、私はもう自分でテスト問題を作ることはしていない。
そもそもボランティアの私がテストをやらせても、生徒の公式な記録にはならない。
生徒の能力を確認するだけなら、普段の授業でも十分だ。
それに、正教員たちの不正がまかり通る今の状況が変わらない限り、試験などお定まりの予定調和なイベントでしかない。
そんなことに時間を費やすよりも、特別クラスに集中したほうが有意義だし、私も楽しい。

ちなみにネパールの風習では、テストは一日一科目だけしか行われない。
なので、お昼ごろにはほとんどの生徒は家に帰ってしまうが、特別クラスに参加する生徒は残っている。
こういう日は私も、昼休みにビスケットやバナナなどを生徒たちに配ることにしている。
ちなみに単価は一人20円くらいだ。

そんなこんなでテストも終わると、学校はテスト休みに入る。
この間、教師は採点をして成績表を書く。
そして、終業式の日になると、生徒と保護者たちは学校に集まり、通知表を受け取る。
この時、各学年での順位が発表され、上位の生徒にはノートやエンピツなどの賞品が与えられる。
また、この成績発表は進級・落第の発表でもあり、及第点に届かなかった生徒は留年を告げられるという、ちょっとシビアな一面もある。
まぁ、とは言っても、ほとんどの生徒は『何故か』進級できてしまうのではあるが‥‥。

この日、5年生のクラスで一位になったのは、やはりスリジャナだった。
毎日特別クラスに参加しているのだから、当然の結果ではある。
だが、この成績発表の場にスリジャナの姿は無かった。
学年トップとして彼女の名が告げられると、不在の本人に代わり、二つ下の弟が賞品の文房具を受け取った。
スリジャナが終業式を欠席した理由――――それはこの日、彼女にとってもっと重要な用事があったからだった。

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