2013/09/20

Nepal-123: チャイルド・フェスティバル ①

ネパールでは9月の第一週に、『ティージ』という女性のためのお祭りが行われる。
それに合わせて、ポカラの子供向けFMラジオ局『チュヌムヌ』が、子供のためのイベントを開催した。
一つのホールを5日間借りきって、大々的に行われるようだ。
主なプログラムは、ダンス・コンテスト、クイズ・コンテスト、歌唱コンテスト、絵画コンテストの4つで、8歳から16歳までに出場資格がある。
祭りと聞いちゃあ、こちとら、江戸っ子として黙っちゃいられねえ――――ってなワケで、私はホステルの生徒たちを参加させる事にした。
人前で何かをする機会など、なかなかあるものでは無いし、子供のうちから色んな経験をすることは、その後の人生の幅を広げてくれる。

一応、本人たちの希望を聞き、ジャラナはダンス、シュレンドラは絵画、ビルとスリジャナとサンジェイの3人はクイズに決まった。
さらに、SG小学校の元生徒でサンジェイの姉のスズタも、ダンス・コンテストに参加させる事にした。
ネパールの文化には、踊りが密接に関わっており、大人も子供も大抵は踊れる。
スズタは、踊りに関しては村の中でも一、二を争うくらい上手だ。
勉強の方では芽が出なかったが、こっちの方面に進むことで、将来に展望が見えてくるかもしれない。そう私は考えた。
イベント前日、貸し衣装屋に行って、ジャラナとスズタの衣装を借りる。
ジャラナは水色、スズタは赤のサリーを選んだ。
その後、二人はホステルで踊りの練習をした。
クイズ出場組も、クイズの本で勉強している。

翌日、ジャラナとスズタは踊りの衣装で、他の子供たちは学校の制服を着て、イベント会場へ向かった。
ジャラナとスズタの二人は、お化粧もバッチリしている。
インド系のクッキリした顔立ちのスズタには、メイクがとてもよく映える。
一方、ジャラナのメイクに関しては、正直、ちょっと吹いてしまった事をここに告白する。
その理由は、まぁ、写真を見て頂ければお分かりになるだろう。




さて、ダンス・コンテストには、約50人の子供たちが出場するようだ。(ちなみに、何故か全て女の子だった)
1
日目と2日目に半数ずつの予選が行われ、それぞれの中から5人が決勝に進むらしい。

まずダンス・コンテストが行われるという事だったが、やっぱりネパールなので、案の定、時間通りには会場の準備が整わなかった。
そこで、先に絵画コンテストが行われる事となった。
シュレンドラが二階の会場に行き、与えられた題目『私の村』の絵を描く。
しかし、特に動きも無い上、テーマもこれ以上無いくらい平凡なので、ハッキリ言って退屈極まりない。
本人の希望ではあったが、絵画コンテストに参加させたことを、私はちょびっと後悔した。




一時間ほどすると、ようやく会場の準備が整い、ダンス・コンテストが始まった。
踊りに使われる曲は、出場者が各自で用意した曲で、どれもネパールの映画で使われている曲のようだ。
衣装も皆、ネパールの衣装で、洋楽で踊る参加者は一人もいなかった。

何人かが踊った後、ジャラナの番になった。
他の参加者もそうだが、踊り慣れているのか、単に図太いのか、あまり緊張で固くなっている様子は見られなかった。
ジャラナは5分ほどの長さ曲を、途中、怪しいところはありつつも、何とか踊りきった。
決して上手な踊りとは言えなかったが、子供らしく可愛らしいパフォーマンスに、会場からは歓声や拍手が送られた。

しばらくして、今度はスズタの番になった。
何百もの人の前で踊るのは初めてなので、こちらはかなり緊張しているようだ。
元々イージー・ゴーイングな彼女が、こんなに真剣になってるのを見るのは初めてだ。
スズタの踊る曲も映画の劇中歌で、どうやら今、ネパールで流行っている曲らしい。
ちなみに、この日、スズタの他にも何人かが同じ曲で踊っている。
オリジナリティーに欠けるとも言えるが、何故か皆、踊り方が違っていたりする。
他人と違う事をしようという発想が乏しいのに、同じように真似することも出来ない、という所が、良くも悪くもネパール人らしい。

踊り始めてすぐ、頭のヴェールが落ちてしまうというアクシデントがあったものの、スズタは練習通りに上手く踊りきった。
他の参加者のレベルも高かったが、それに見劣りしない出来栄えだった。
全くの独学でこれだけ踊れれば立派なものだ。




今日の出場者が全員踊り終わると、1日目は終了となった。
せっかくビルたちも連れてきたものの、クイズ・コンテストは明日という事らしい。
そして、いよいよダンス・コンテスト、予選通過者の発表になった。
今日、踊った二十数人の中から、通過できるのは5人だけ。
一人ずつ予選通過者の名前が読み上げられる度、その学校の生徒たちから歓声が上がる。
そうこうするうちに、ジャラナもスズタも名前を呼ばれないまま、4人目の名前が読み上げられ、残りは一人となった。
当人たちだけでなく、私もホステルの他の生徒達も、固唾を呑んでスズタの名前が読み上げられるのを待っていた。(というか正直、ジャラナは無いと皆わかっていた)
そして、会場に響いた最後の予選通過者の名前は――――二人のどちらでもなかった。

まぁ、本格的にダンス・レッスンを受けるでもなく、村の祭りでたまに踊っているくらいでは、こんなところだろう。
ただ、残念な結果に終わりはしたものの、二人にとって、今日の事は貴重な思い出になったはずだ。
これでスズタが真剣にダンスに打ち込むようになれば、彼女の将来はまた違ったものになるのかも知れない。

ところで、全く盛り上がらなかった絵画コンテストの方だが、ダンスの結果発表後、すっかり忘れて帰ってしまったので、どうなったかは不明である。
まぁ、その後も私の所に特に連絡が来なかったので、シュレンドラは入賞を逃したのだろう。
というわけで、2日目のクイズ大会に続く。

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