2015/05/18

現状報告

先週12日、カトマンズの北東を震源とする大きな余震が発生したが、その後のネパールの状況を報告したいと思う。

まず、私のいるポカラは余震から数日間、学校が休みになるなど多少の混乱はあったものの、現在はほぼ平常に戻っている。
しかし、震源地近くの被災地はさらに深刻な被害に見舞われている。
最初の地震でかろうじて全壊をまぬがれたものの、今回の余震によってとどめを刺された建物は数多く、また、度重なる余震によって土砂崩れや落石も頻発しており、そういった地域では村そのものを放棄して他所に移住するよう、住民に指示が出ているという。
多くの人々が親戚などを頼ってカトマンズや近郊の町へ移っているが、自分の土地や家畜を捨てて、他所に移住するのは容易な選択ではない。
最初の地震からすでに3週間が経過したが、余震はおさまる気配も無く、多くの人々が外で寝ている状況も変わらない。
ただ一方では、政府や国際機関などの大規模な救援がすでに各地に入っており、またそれに加え、中小の団体や個人による支援物資の配布なども断続的に行われているようで、さしあたり「食べるものや着るものが無い」といったような危機的な状況はおおむね解消されているようではある。
そこで私は今後、誰にどういった支援をしていくべきなのか考えてみた。


被災者が必要とするモノは、時間の経過に従って流動的に変化する。
当たり前の事だが、被災者が最も支援を必要とするのは被災直後だ。
しかし、人命救助など緊急のものは別として、政府や国際社会の救援・支援が各被災地に到着するにはそれなりの時間がかかる。
そのため、災害直後の時点で最も機動的に救援活動ができるのは、現地にいる我々のような個人や小規模な団体となる。
今回の場合、家を失った人々は被災直後、とりあえず当面の食料と雨をしのげる寝床を必要としていた。
そこで我々は簡易テントと毛布、そして12週間しのげる程度の食料を配った。
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2週間も経てば、準備を整えた政府や国際社会などが、我々のような個人や小団体とは桁違いの規模の支援を始める。
我々がすべきは、ただそれまで時間を稼ぐ事だけだ。

この迅速な救援が可能だったのは、フェイスブックを通じて世界中にいる友人たちが寄付を集めてくれていたからだ。
実際に寄付金が届くまでにはある程度の日数が掛かったが、その応援があったからこそ、私は躊躇うことなく自分の銀行口座が空になるまで支援活動を行うことができたのだ。
最初の地震発生以降、数えきれないほど多くの組織・団体が緊急支援を謳って寄付を集めているが、現実的に言って、災害が起きてから緊急支援の寄付を集めてもあまり意味は無いように思う。
なぜなら、それが十分集まる頃には緊急支援が必要なくなっているからだ。

政府などの大規模な支援が始まったならば、とりあえず我々が即座にすべき事はほとんど無い。
そこで今度は、短期的な支援から中長期的な支援に思考を切り替えなければならない。
今後は被災者が自立して生活できるようにする事が目標となるのだ。
現在までに55万ルピー(約65万円)ほどの寄付金が集まっているが、過去3回の救援活動で約20万ルピーほど使っているので、残りは約35万ルピーである。
限られた金額ではあるが、この善意を最大限有効に使うのが私の責務だろう。
そのために、まず政府や有力団体の動向を観察する必要がある。
彼らの大規模な支援の盲点となる部分に焦点を当て、個人だからこそ可能な、本当にネパールの復興と発展に寄与する支援方法をじっくり考えていきたい。
多少時間はかかるが、協力者の方々にはご理解いただきたいと願う所存である。

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