2013/08/30

Nepal-122: 心機一転

こうして全員が無事KEFに合格し、今年度からホステルにサンジェイとジャラナが加わる事が決まった。
サンジェイの家族も大喜びで、父親などは出稼ぎ先のカタールから私に直接電話してきたほどだ。
一方、プシュパとその母も、ジャラナのKEF合格に心底ホッとしたようだ。
これでホステルのメンバーは総勢6名となり、休み明けからプシュパによる新体制でのスタートとなる。
しかし、人数が増えれば、それだけ管理は難しくなる。
特に新しく入るサンジェイとジャラナはまだ小さく、どちらも少し甘やかされてきたようなので、しばらくはバタバタした日が続くだろう。

2013/08/24

Nepal-121: 2013年度入試 (後)

マザーランド入試の翌日――――今日は『KEF HSS』の入試日だ。(ちなみに、『HSS』は『Higher Secondary School』の略で、12年生までクラスがあることを意味している)
このKEFはマザーランドと比べると規模も小さく、知名度は無に等しい。
事実、昨年の数学コンテストまで、私もこの学校の名を聞いたことがなかった。
しかし、日本の偏差値のような共通の評価基準が存在しないネパールの場合、「知名度や評判」と「実際の学校の質」は必ずしも一致しない。
こういった状況では、生徒の親たちはどの学校が良いかを客観的に判断することができず、学校の評判は校舎や設備の立派さなどの「外見」によって決まってしまいがちだ。
私が数学コンテストを企画した目的の一つは、そうした不確かなデータによらず、本当に良い学校をホステルの生徒たちのために探すことにあった。
まぁ、コンテストの結果だけで各学校のレベルを断定することは出来ないが、それでも一つの客観的なデータとして学校選びの参考になることは確かだ。
その結果、このKEFという学校を見つけ出すことができ、今、こうして生徒たちが入試を受けようとしている。
論理性には欠けるが、私はこういった『縁』にも何らかの意味があるのでは、と考えている。

2013/08/09

Nepal-120: 2013年度入試 (前)

今年、生徒たちが受験する学校は、最終的に二つの候補に絞られた。
一つはポカラで最も評判の良い学校のひとつである『マザーランドHSS』(以下、マザーランド)という学校で、生徒数は1500人ほどに及ぶ。
ちなみに、ここの校長とはFMラジオ・チュヌムヌのオフィスで会ったことがある。
彼自身も数学を教えているので、その時はまだ構想の段階だった数学コンテストの話にも大いに関心を示してくれた。
また、根本的な『教育』の考え方にも、私の意見と共通する部分が多かった事を覚えている。

もう一つはあまり有名ではないが、昨年の数学コンテストで優勝者を始め、何人も上位入賞者を出した『KEF HSS』(以下、KEF)という学校だ。
数学コンテストの成績だけで全てを判断することは出来ないが、彼らの答案からは基礎力の高さが感じられた。
生徒の基礎力が高いということは、教師がポイントを押さえた丁寧な指導をしている事を示しているように思う。
それには学校の方針だけでなく、教師自身のやる気が不可欠である。
私が学校選びで最も重視するのは、「教育の質向上に対する熱心さ」である。
私立校の中には教育の質よりも、学校の規模を拡大して儲けを増やすことしか考えていないようなのも多い。
KEF
は生徒数がマザーランドの半分ほどとそれほど大きい学校ではなく、校舎もこじんまりとしているが、「名を捨てて実を取る」ような雰囲気に好感を覚える。
マザーランドとKEFはどちらも教育そのもの、つまり、生徒の将来を第一に考えていると見る事ができる。
それが私がこの二つの学校を候補に選んだ理由だ。

2013/08/03

Nepal-119: 受験シーズン

前回書いたように、私は今年、新たにサンジェイという男の子をホステルに加えようと考えていた。
しかし、それにはまず、彼がポカラの私立校の入学試験に合格しなければならない。
さて、その入試に関してだが、私は昨年までとは少し違ったやり方をしてみようと思っていた。