2012/07/17

Nepal-092: コネとお茶

サビナに私立大学の入試を受けさせてみる事にした。
ただ問題は、この時期になるとどこの私大も、既に願書の受付が終わっている事だ。
普通に考えれば、この時点で今年の入学は不可能なのだが、ここネパールではコネさえあれば大抵の道理は引っ込む。(それがネパールの発展できない理由なのだが)
というわけで、知り合いでもあるKH学園の理事長にお願いしたところ、ある私大を紹介してくれた。
この私大でもポカラ大学のコースを受講できるらしい。
私もこのシステムについてはよく知らないが、何でも国立大学は外部の私大にも定員枠を設け、本校から派遣された講師が出張クラスにような形で講義をしているという。
要するに、国立に受かる学力が無くても、お金さえあれば同じ教育が受けられるという金持ち用の救済措置なのだろう。
先進国でも子の学歴は親の経済力に比例する傾向があるが、こういった途上国ではそれがより露骨でダイレクトな関係のようだ。

早速、紹介してもらった私大にサビナと向かった。
私大ではあらかじめ話が伝わっていたので、すぐにその場で入学試験――――というより、講義についていけるかどうかの学力チェック――――を受けられる事になった。
その間、私はする事も無いので、学長らとお茶を飲みながら世間話をしていた。
ちなみに、ネパール人は本当によくお茶(チヤ)を飲む。
インドのチャイと同様、粒状にした紅茶の葉を煮出して作る。
基本的にミルクティーが多いが、ミルクを入れないブラックティーもよく飲まれる。
どちらにもショウガやらシナモンやらマサラやらが入っていて、それぞれの家庭で微妙に味が異なるのが面白い。
また、村では牛乳の代わりに水牛の乳を使うほうが一般的で、これも一味違った風味が楽しめる。


一時間ほど待っていると、テストを終えたサビナが戻ってきた。
イレギュラーな時期の入学試験なので、担当した教官がその場で採点してくれた。
その結果を見た学長が言うには、やはりサビナの学力はあまり芳しくないようだ。
全体的にギリギリの成績だが、中でも特に英語が弱いという。
これまでずっと公立校に通っていたのだから当然ではあるが、サビナの英語力は妹弟のススミタやキーランよりもはるかに劣る。
しかし、大学レベルになるとテキストはもちろん、講義も基本的には英語で行われる。
その英語が不得意という事は、講義内容の理解に人一倍時間がかかる事を意味する。
サビナが講義の進行にきちんとついて行けるかどうか、私にも学長らにも確信は持てなかった。
だが、本人はベストを尽くすと言っているので、私にそれを押し止める理由は無い。
学長の方も紹介という事で、とりあえずサビナの入学を認めてくれた。
ここから先は彼女自身の頑張り次第だ。

こうして滞在期間が残り一週間で、何とかホステル設立の見通しが立ったのだった。

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