2012/12/26

Nepal-103: 期末テスト

ネパールでは10月頃から約一ヶ月間、『ダサイン』という祭りのシーズンになる。
この祭りの期間中は学校も、ちょうど日本の夏休みのように長期休暇に入る。
その休みの前に一学期の期末テストがあるのも、また日本と同様だ。
それに備えて、ホステルのビルとシュレンドラとスリジャナの3人も、テスト勉強に追われている。
特に今年入ったスリジャナは、新しい学校での初めてのテストなので頑張らなければならない。
そんなわけで、夜は私もホステルに泊まり込み、英語と数学を中心にみっちりと指導する日が続いた。

2012/12/17

選挙

昨日は衆議院議員選挙の投票日だった。
投票は国民の義務であり、また、国民が政治に参加できる唯一の手段でもある。
特に、政党が乱立した今回の選挙では、有権者に与えられた選択肢は普段よりも多かった。
連日、テレビでは各党の代表者らによる討論が放送され、一般人の政治に対する関心は決して低くはなかったように思う。
しかし、嘆かわしいことに、今回の選挙の投票率はわずか60%弱で、過去最低だったという。
これは一体、何故なのか。
何故、これほどの人が日本国民としての権利と義務を放棄してしまうのだろうか。

2012/12/14

Nepal-102: 水が無い

9月。
ジメジメした雨季もようやく終わろうかという頃、私はポカラに舞い戻った。
これから11月くらいまでにかけてが、ネパールのベスト・シーズンだ。
この時期は暑くもなく寒くもなく、過ごしやすい日が続く。
また、比較的天気の良い日が多いので、ヒマラヤの山々が一年で最も綺麗に見える時期だ。
私のホステルからも富士山の倍以上もある白い峰々が一望できる。

さて、そのホステルであるが、最近ちょっと困った問題を抱えていた。
水が無いのである。

2012/09/11

Nepal-101: 4人目

KH学園の入学試験の後も、スリジャナは毎日、特別クラスに出席していた。
他にもビルとシュレンドラはもちろん、新しい4年生も何人か毎日勉強しに来ていた。
また、シャムロック・スクールのススミタとキーランも、家や畑の仕事の合間にやって来ている。

シャムロックと言えば、去年、ビルとシュレンドラが入学試験を受け、二人とも落ちている。
それで私は二人をKH学園に入学させることに決め、その後の事も考えてホステルを設立することにしたわけだ。
しかし今年、スリジャナにはシャムロックの入学試験を受けさせていない。
自分のホステルを設立したことで、シャムロックに頼る必要が無くなったというのもあるが、それ以前に、シャムロックへの進学がはたして良い選択と言えるか、疑問に感じるようになったからである。

2012/09/06

Nepal-100: 入学試験

SG小学校で終業式が行われていた頃、スリジャナは私と一緒にポカラにいた。
――――実は私も、終業式には行かなかったのだ。
この日、私たちは、ビルとシュレンドラが通っている『KH学園』に来ていた。
KH
学園の入学試験が行われるからである。

Nepal-099: 終業式

――――3月下旬。
SG小学校では、いよいよ学年末テストが始まった。
ただ、私はもう自分でテスト問題を作ることはしていない。
そもそもボランティアの私がテストをやらせても、生徒の公式な記録にはならない。
生徒の能力を確認するだけなら、普段の授業でも十分だ。
それに、正教員たちの不正がまかり通る今の状況が変わらない限り、試験などお定まりの予定調和なイベントでしかない。
そんなことに時間を費やすよりも、特別クラスに集中したほうが有意義だし、私も楽しい。

2012/08/31

Nepal-098: 動機づけ

勉強でもスポーツでも他のどんな事でも、成功を収めるために最も重要なことは変わらない。
それは、『成功するまでやり続ける』ということである。
何のヒネリもない当たり前の理屈ではあるが、結局、最後はそこに行き着くのだ。
さて、そこで注目すべきなのが、行動を引き起こしたり維持したりする心の働き、心理学で言うところの『動機づけ』(モチベーション)というものである。

2012/08/22

Nepal-097: 今年の奨学生候補

3月も半ばに差し掛かり、今年も学年末テストの時期がやってきた。
SG
小学校の場合、5年生の生徒にとっては卒業試験にあたる。
このテスト前からテスト後にかけて、特別クラスは徐々にペースを上げ、ラストスパートに入る。
テスト前から通常の授業はほぼ無くなり、午前中だけの日が多くなるので、特別クラスの時間が多く取れるようになるからだ。
この頃になると特別クラスでの授業内容も、学年末テストの出題範囲のずっと先まで進んでいる。
すでに形骸化している進級制度など眼中に無い。
今やるべきは卒業後、私立校に入学するため――――さらにそこで上位に食い込むための準備なのだ。

2012/08/17

Nepal-096: 教習所は搾取構造

朝、バスで片道1時間半かけてSG小学校へ行く。
夕方4時まで通常の授業をし、その後、5時頃まで特別クラス。
それが終わったら、また1時間半かけてポカラに帰る。
これが私の基本的なネパールでの一日である。 

2012/08/14

Nepal-095: 全て世は事も無し

さて、こうしてまた3ヶ月のネパール生活が始まったわけだが、メインの活動はこれまで通りSG小学校でのボランティアだ。
現在は英語はほとんどアナンダ先生に任せて、私は主に算数と理科を教えている。
SG
小学校で高学年の算数と理科を担当してるのが、一番若いパトリカ先生だ。
私は基本的に、このパトリカ先生をトレーニングしながら一緒に授業を行なっている。
教師の質が低いネパールの学校では、授業は教科書を通り一遍になぞるだけになりがちだ。
もし教科書が日本のように考え込まれた構成になっているならそれでもいいが、内容の薄っぺらいネパールの教科書では考える力が育たない。
だから、授業の所々で教科書には書かれていない学習方法や問題を挟んでいって、教師の教え方の幅を広げていきたいと思う。

2012/08/05

Nepal-094: 所要48時間

年が変わり、2012年。
1
月もそろそろ終わりに差し掛かろうかという頃。
例年通り、私はネパールに向かい、成田を発った。
今回の便は、エア・インディアのニューデリー経由・カトマンズ行きである。
この航空券はネパールで買ったので、日本の旅行代理店で買うよりも3割ほど安かった。
ただ問題は、ニューデリーでの乗継ぎ待ちが13時間以上もあるという点だ。
もしかしたらホテルを手配してくれているかも知れないという淡い期待は当然のごとく一笑に付され、予想通り、空港の出発ロビーで一夜を明かす事になったのである。

2012/07/20

Nepal-093: ホステル始動

ホステル作りの仕上げは、ホステルで生活する上での様々なルールを決める事だ。
まず、掃除・洗濯・炊事といった家事は、まだ3人だけなので分担せず全員でやらせる事にする。
また、食料に関しては、彼ら自身で賄っているもらう事にする。
実家に居ても食費はかかるのだから、そこまで私が払ってやる義理も無いだろう。
それに、農村の住人たちは普段食べるものの多くを自作しているので、主食のコメやジャガイモなどを村から持ってくれば、店で買う食料は僅かな分で済む。
それ以外の日用雑貨や電気・ガス・水道・電話代などは、新しく作った銀行口座からお金を下ろして支払いをするようサビナに頼む。
もちろん、後でチェックできるよう収支表をつけ、領収書も取っておいてもらう。
彼女は銀行員を目指しているらしいので、これは彼女にとっても良い訓練になるだろう。

2012/07/17

Nepal-092: コネとお茶

サビナに私立大学の入試を受けさせてみる事にした。
ただ問題は、この時期になるとどこの私大も、既に願書の受付が終わっている事だ。
普通に考えれば、この時点で今年の入学は不可能なのだが、ここネパールではコネさえあれば大抵の道理は引っ込む。(それがネパールの発展できない理由なのだが)
というわけで、知り合いでもあるKH学園の理事長にお願いしたところ、ある私大を紹介してくれた。
この私大でもポカラ大学のコースを受講できるらしい。
私もこのシステムについてはよく知らないが、何でも国立大学は外部の私大にも定員枠を設け、本校から派遣された講師が出張クラスにような形で講義をしているという。
要するに、国立に受かる学力が無くても、お金さえあれば同じ教育が受けられるという金持ち用の救済措置なのだろう。
先進国でも子の学歴は親の経済力に比例する傾向があるが、こういった途上国ではそれがより露骨でダイレクトな関係のようだ。

2012/07/14

Nepal-091: 女子の現実

サビナからポカラ大学の入試に失敗したと知らされた。
それ自体は全く驚きではなかった――――というか、むしろ納得だった――――が、いずれにせよ、これでまた話が振り出しに戻ってしまった。
サビナはと言えば、厳しい現実を突きつけられ途方に暮れている様子だったが、それでも全く緊張感が感じられないのは彼女の持ち味だろう。
とりあえずこれからどうしたいのか、彼女本人の希望を聞いてみた。

2012/07/11

Nepal-090: 寮長さがし (2)

少し固有名詞が増えてきたので、一度ここで整理してみたいと思う。

      ビル(男/13歳): 2011年のSG小学校卒業生。現在は私立KH学園に在籍。
      シュレンドラ(男/12歳): 同上。
      ススミタ(女/13歳): 2009年のSG小学校卒業生。現在はシャムロック・スクールに在籍。
      キーラン(男/11歳): 同上。ススミタ、サビナとは姉弟。父親は既に他界。
      サビナ(女/18歳): ススミタとキーランの姉。公立校で102年の基礎教育を修了している。かなりマイペース。

2012/07/09

Nepal-089: 寮長さがし (1)

家が貧しくとも見所のある子供の可能性を伸ばすため、良い教育が受けられる都会の私立校に編入させる。
そのために私は、生徒たちの住むホステル(学生寮)を設立する事にした。
幸運にも場所に関しては、かなり好条件な家を一軒丸ごと借りられる目処が立った。
あとは子供たちの面倒を見てくれる寮長が見つかれば、準備はほぼ完了だ。

2012/06/26

Nepal-088: ホステルを作る

さて、この時期を選んで再びネパールに来たのには、もう一つは理由があった。
それは、ビルとシュレンドラらがポカラで生活するホステルを、この休み期間を利用して作ろうと思ったからだ。

現在、彼らが入っている『KH学園』の学生寮はあまりにも高額だ。
経済的に言っても、いつまでも二人をそこに預けておく事は不可能である。
また、環境についても、寮の至れり尽くせりなサービスは、自立心とハングリー精神を養うのには向かない。
ならば、彼らがその環境に慣れきってしまう前に、出来るだけ早く出してしまおうと考えたのだ。

2012/06/24

Nepal-087: 成長

201110月上旬、約5ヶ月ぶりにネパールへ帰ってきた。
もうこれが何度目の訪ネパールかも覚えてない程だが、日本とは全く違う環境だけに毎回感覚のズレを感じる。
まぁ、それは日本に帰った時も同様ではあるが。

ネパールはちょうど最大の祭り『ダサイ』の真っ只中で、空港も目につく職員の数は少なく、また、いつも以上にやる気が感じられない。
入国審査のカウンターには長蛇の列ができているが、そんなもの目に入っていないかのように、審査官たちはおしゃべりしながらのんびり作業している。
やっとパスポートにスタンプをもらい、ターンテーブルに着いた時にはもう機内預け荷物はフロアに投げ出されていた。
税関でも係員は椅子に座ったままで、外国人は全員スルーだ。X線検査機すら動いていない。
相変わらずネパールでは、世界とは別の時間が流れているようだ。

宗教

最近、手塚治虫の『ブッダ』を読む機会があったので、今回は少し宗教について書いてみたい。

問: あなたは、「欧米人の思考がよく分からない」と思った事はありませんか?

この質問に「いいえ」とハッキリ答えられる日本人は、ほとんど居ないだろう。
これは日本人に限らず、アジア人全体に共通する感覚と言える。
だが、それは欧米人の側からしても同じようである。

2012/06/08

Nepal-086: 入学

ビルとシュレンドラがKH学園に通うことが決まった。
ただ、一つ残った懸念はやはり通学に関する事だった。
ネパールの私立校はどこもスクールバスを走らせており、KH学園も例外ではない。
しかし、生憎というべきか案の定というべきか、そのスクールバスもラムガディ村の近くまでは来ていなかった。
スクールバスを利用せずローカルバスで通学する事もできるが、私はそこまで二人に要求するべきかどうか悩んだ。
 

2012/06/05

Nepal-086: 私立KH学園

奨学金と共にリスクを背負うか。
私はビルとシュレンドラに一晩考える時間を与え、親とも相談させた。
そして翌日、彼らは揃ってポカラの私立校へ行くことを希望した。
彼らの瞳には、長時間の通学もより大きな責務も辞さない強い意志が見えた。

2012/06/04

Nepal-085: 奨学金

シャムロックの入学試験に落ちてしまったビルとシュレンドラ。
しかし、彼らの成長に大きな可能性を感じた私は、私立校の学費を『奨学金』という形で援助する事にした。
ちなみにネパールの場合、私立校といっても学費自体はだいたい月2,500円ほどでしかない。
ただ問題はどこの学校に行かせるか、という事である。

2012/06/03

Nepal-084: これまでの流れ

新装開店ということで、サクッとこれまでの流れを振り返ってみよう。

2007年:
インドのマザーハウスに1年半ほど居た後、ネパールへ。

2007年:
ネパールの都市・ポカラに滞在中、ふとした縁から小学校で教師することになる。担当科目は英語。試行錯誤の日々。

2012/06/02

引越しのご挨拶

この度、旧ブログ『○○○さがしの旅』から越してきました、ACEと申します。
一年の半分ほどをネパールで過ごし、現地で教育関連の活動をしています。
そんな日々を通して目に映るネパールのこと、世界のこと、そして人間のことを、自分なりの言葉で綴って行きたいと思います。